九州大学の研究チームが、80歳の方々697人を対象に「4mm以上の歯周ポケットのある歯が、10本以上ある」「4mm以上の歯周ポケットがない」2つのグループに分けて、4年間追跡した研究です。
その結果、肺炎での死亡率が、ポケットがあるグループの方が3.9倍高かった、と大きな差が出ました。
明確な因果関係を証明できるわけではありませんが、歯周ポケットが深い(通常、3mmまでは健康、それ以上深くなると異常ありと判断されます)ことで、お口の中に細菌が繁殖しやすくなり、不衛生になります。その結果、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」といって、お口の中の細菌が肺に入ってしまい、そこから肺炎になる可能性が高くなっていると考えられます。
歯周ポケットが深くても、そのほとんどは適切な治療と定期検診とで改善が可能です。
ただし、「歯周ポケットが深い」という自覚症状はほとんど無いため、気づかないうちに病状が悪化していくケースがほとんどです。
そうならないためにも、自覚症状の有無に関わらず、歯科医院で定期検診を受診することを心がけましょう。
ちなみに、この論文が掲載されたのは、「Journal of Dental Research」という歯科医療の分野では最も権威のある論文誌です。
伊勢市 宇治山田歯科医院
日本臨床歯周病学会認定医 院長 片山昇
参考文献)
Awano, S., et al. “Oral health and mortality risk from pneumonia in the elderly.” Journal of dental research 87.4 (2008): 334-339.